大切に扱っていたお気に入りの食器をうっかり割ってしまった!そんな経験が皆さんもあるのではないでしょうか。好きな作家さんのマグカップやお祝いでいただいたお皿・・それぞれに思い入れがある中、そのまま捨てるなんて、なかなか決断し難いですよね。
そのような「もったいない」「まだ使えるかもしれない」という気持ちは、現代を生きる日本人も、昔の日本人も、きっと同じだったのでしょう。日本に400年以上前の室町時代から伝わる「金継ぎ」は、陶器や磁器の欠けや割れを漆と金で修理をして、更に新たな魅力を加える技術です。
本記事では、金継ぎについてや、初心者向けのおすすめの金継ぎキットや書籍、金継ぎの手法で修復された器などを厳選してご紹介していきます。

注目される金継ぎの魅力
ここ数年、日本では金継ぎブームといわれるぐらいに人気が高まっています。そのため、金継ぎの細かい内容は知らなくとも言葉は知っているよ、見たことはあるよ、という方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。そして現在は国内だけにとどまらず、海外でも「kintsugi」として注目され、その魅力がどんどん広まってきているそうです。

金継ぎで修復された器は、割れた箇所が金などで装飾されています。一般的に、修理・修復とはどこを直したのかわからないようにすることが多いですが、金継ぎは逆転の発想。修理したところをあえて目立たせることにより、完璧な器とはまた違う美しさや価値を加えられるところが魅力なのです。
金継ぎに使われる材料
金継ぎの材料は何といっても漆と金です。
伝統的な手法の金継ぎでは天然の「生漆」を接着に使います。「生漆」は天然のウルシの木から採取した樹液です。天然のものなので食器などにも安心して使えるところが最大のメリットですが、その反面、非常にかぶれやすく、時間が経つにつれて変色をします。また、その日の湿度や温度の条件に応じて乾燥にかかる時間も変わるために、扱いにはきめ細かな注意が必要です。

そして金継ぎの仕上げに使われる金粉は「消粉」「平極粉」「丸粉」の3種類が特によく使われ、仕上げの光沢感や手間(難易度)、価格、耐久性などで使い分けます。「消粉」は金箔をすり潰してパウダー状にしたもので、マットな仕上がりになり、比較的安価で扱いやすい反面、耐久性が低いところが特徴です。対して「平極粉」「丸粉」は地金をヤスリでおろしたもので、「丸粉」は特に高価で扱いが難しい反面、耐久性が高く、磨くことにより強い光沢が出ることが特徴です。
金継ぎのおおまかな手順と作業時間
金継ぎは、とても地道な作業を経て完成されます。
①やきものの種類の確認(磁器、陶器、土器)
②種類に応じて、本体と割れた破片を「粉漆」や「麦漆」で接着→乾燥
③欠けの場合は「錆漆」や「刻苧漆」を埋め→乾燥→ヤスリ ※2~3回繰り返し
④漆を塗る(中漆)→乾燥
⑤金を定着させる漆を塗る(上漆)→乾燥
⑥金を蒔く→乾燥させて完成

金継ぎが完成するまでの作業時間は季節により異なりますが、乾燥にしっかりと時間をかけることが成功のポイントです。そのため、夏の場合は約2~3か月、冬の場合はなんと約4~6か月の期間を要します。思っていたよりも長いですよね!
金継ぎ師
今や金継ぎ教室は日本中にあるので、一見誰でもできるように思われそうですが、生漆を使いこなすレベルになるにはたくさんの経験が必要です。そのため、金継ぎ師として独立するには何年もかかります。そして金継ぎの手順や使う材料・道具も教科書通りというわけではなく、金継ぎ師により様々です。
初心者におすすめの金継ぎキットと書籍
知れば知るほど奥深い、金継ぎの世界。これから金継ぎを始めてみたり、金継ぎされた器を暮らしに取り入れてみたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、厳選したおススメのキットと書籍をご紹介いたします!
【おすすめ金継ぎキットその1】
金継ぎ・銀継ぎキット初心者用 TSUGUKIT つぐキット
初心者でも本格的な金継ぎが楽しめるキットです。小型の収納にも関わらず、量もたっぷり30gの本漆に、金継ぎと銀継ぎの両方を楽しむことができるので、とってもお得感があります。オールカラーの手順書・動画(日本語・英語)付きなので、海外の方へのプレゼントとしても喜ばれそうです。

【おすすめ金継ぎキットその2】
金継ぎコフレ
コンパクトで機能的な収納がお洒落なキットです。金継ぎを始めるにあたり、あまり物は増やしたくないという方や、お部屋に出しっぱなしにしてもインテリアを乱さないものが良いという方に。見た目だけではなく、京都で110年余り重要文化財や全国の漆芸作家に漆を納めている「堤淺吉漆店」監修なので、内容も安心感がありますね。
【おすすめ書籍その1】
おうちでできるおおらか金継ぎ / 堀道広著
初めて金継ぎを実践していく際に、役立つ一冊です。「だれでも」「おうちで」「手に入りやすい道具で」気楽に金継ぎを楽しめるように紹介されています。内容は伝統的な金継ぎの手法にも関わらず、可愛らしいイラストと共に全体的にゆるりとした雰囲気で、写真も多くわかりやすい点が魅力です。

【おすすめ書籍その2】
金継ぎと漆 KINTSUGI & JAPAN/ 加藤利恵子著
伝統的な手法の金継ぎはもちろん、漆についてもわかりやすく説明された書籍です。こちらは金継ぎの歴史や基礎知識、作品集、漆の知識やきものの扱い方まで、初心者が全体像を掴みやすそうです。

【おすすめ書籍その3】
継 金継ぎの美と心 The Spirituality of Kintsugi / 清川廣樹著
英文訳付きの、国内外に向けた金継ぎを知るための一冊。技法やその美しさだけではなく、金継ぎに込められた日本人の感性や精神性にまで踏み込んだ内容です。金継ぎを始めとした、日本の職人文化に興味がある海外の方への贈り物としてもおすすめします◎

おすすめの金継ぎの器
次に、自分で金継ぎをする時間や自信は無いけれど、実際に金継ぎで修復された器を生活に取り入れてみたいという方へ、骨董の器も厳選してみました。
【おすすめ器その1】
黒茶碗 12cm 金継 箱付 茶道具 唐物骨董 名家旧蔵
両手に収まるサイズの黒茶碗。黒地なので金継ぎ箇所が際立ち、小ぶりながらもどっしりとした落ち着きを感じさせる器です。こちらでお抹茶を立てても素敵ですね。

他の金継ぎ補修されているお茶碗はこちら。
【おすすめ器その2】
江戸中期 海浜草花染付油壺 徳利 花入 金継
白地に金継ぎがある、味わい深い江戸時代の徳利です。日本酒でのおもてなしに良さそうですね。

他の金継ぎ補修がされている器はこちら。
【おすすめ器その3】
骨董 古唐津 無地唐津皿 桃山時代-16世紀頃
深さもあり、普段使いがしやすそうな桃山時代の古唐津皿です。経年による変化で、3箇所の金継ぎが器本体の色と馴染み、何とも味わい深い器です。どんなお料理を盛りつけようか、想像が膨らみます。

他の金継ぎ補修されている骨董はこちら。
まとめ
「サステナブルな暮らし」というフレーズをよく見聞きするようになり、生活の中でも3R(リユース・リデュース・リサイクル)を意識することが大切と言われています。モノを大切にしたいという考えから生まれたであろう、400年以上前の日本の金継ぎ技術。決して色褪せず、現在までバトンが繋がってきたと考えると、この先の未来にも残し続けていきたいですね。
SDGsの観点から、海外からも注目されている金継ぎ。ここのところのブームで初心者向けのキットや書籍もたくさん出ていますので、食器が割れたり欠けてしまった時がはじめ時!?前向きな気持ちでチャレンジしてみませんか◎
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