フィギュア収集の世界は、それはそれは充実していて楽しいものです。日本のフィギュアはもはや単なる収集品の域を超え、世界中のコレクターを魅了する価値ある芸術品として愛されています。
しかし残念ながらその人気ぶりに目を付ける輩もいて、市場には海賊版フィギュアが少なからず出回っていることも事実です。海賊版フィギュアの流通は、日頃フィギュアをよく購入する人はもちろん、せっかくフィギュアの世界に足を踏み入れようとしてくれている人にとって迷惑極まりないものです。大切なフィギュア棚に偽物が混じってしまうなんてことはあってはなりませんが、通販でフィギュアを購入するならやはりリスクはつきもの。
ここは少し勉強して、海賊版フィギュアを掴まされる可能性をぐっと下げておきましょう！この記事では、純正品フィギュアと海賊版フィギュアを見分ける方法を詳しく解説していきます。正しい情報に基づいてフィギュアを購入することで、悲しむ人を1人でも多く救えることを願っております…！
純正品であることが大切な理由
純正のフィギュアを集めるということは、メーカーや造形師、複製師、塗装師など製造に関わるすべてのクリエイターを応援することに繋がり、界隈の存続と発展に貢献します。純正のフィギュアは造形や塗装だけでなく、素材や質感などあらゆる部分で際立っていますが、海賊版フィギュアは写真で見たときにどれだけ遜色ないように思えても、実物は見た目も手触りも確実に純正品より劣っています。
また、海賊版フィギュアにほぼ価値はありません。それだけでなく、低品質な素材が使われていたり、時に人体に有毒な素材で作られていることもあります。アメリカの税関・国境警備局によると、こうした海賊版商品に携わる業界は別の組織犯罪や強制労働にも関係しているそうです。
海賊版フィギュアのよくある特徴
（引用元：トガヒミコ スピリテイル 限定商品｜ゼンマーケット）
純正品のフィギュアは画像のように鮮やかな配色と細かなディテールを兼ね備えています。写真でフィギュアを見るときは、髪の造形や小物、服の皺のリアルさに注目してください。
海賊版フィギュアを判別するには、純正品との違いが表れやすいいくつかのポイントに注意深くなることが大切です。海賊版フィギュアのよくある特徴は次の通りです。
純正品のフィギュアは基本的にメーカーのロゴがパッケージ正面の目立つ位置に印刷されています。また、裏側には版権元の許諾を得ていることを証明するホログラムシールやメタリックシールが貼られている製品もよくあります。
海賊版にはパッケージにこうしたロゴやホログラムシールがなかったり、解像度の悪い画像が印刷されていることがあります。出品者の画像からこれらが確認できない場合は、購入を避けましょう。
（引用元：OnlyFigure.com）
例えば画像のフィギュアの場合、右の海賊版にはロゴが印刷されていないことが分かります。パッケージの色味も異なりますし、付属パーツがないためブリスターも大きく違っています。
異常に安い価格で出品されているものには用心深くなりましょう。純正のフィギュアはそのクオリティとブランドに応じた値段設定がなされているため、わけもなく安い価格である場合は海賊版である可能性が非常に高いです。同一商品のほかの出品価格と比較して、相場を把握することが大切です。
（引用元：crb.com）
近頃発売されているねんどろいどの価格は通常6,000円～8,000円ほどですが、上記の画像の場合は約1,000円という中古にしてもあり得ない値段で販売されています。メルカリで検索すると分かるように、フリマサイトでのこの商品の相場は新品未開封で4,000～5,000円です。
また、パッケージを見るとわかるように、ねんどろいどシリーズのの通し番号である「1602」の上にグッドスマイルカンパニーのロゴとシールがありません。上部の作品ロゴとメディコスのロゴも見当たりませんね。
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純正のフィギュアには高品質な塗料が使用されており、元となるイラストやモデルのディテールを忠実に再現するように塗装されています。海賊版は、色合いがおかしかったり、彩度が高すぎたり、くすんでいたり、プリントがずれていたり、埃などの不純物が混じっていたりと雑であることがよくあります。特にアイプリントやアクセサリー部分にずれが生じているものは、明らかな偽物であることを顕著に表しています。
もうひとつのポイントとして、純正品のフィギュアは基本的にマットな仕上がりになっているものが多数であることに対し（そうでない場合もあります）、海賊版フィギュアは妙に光沢のある外観であることが挙げられます。
（引用元：How to Spot a Fake Nendoroid｜Nyotaku）
こちらの画像を見たところ……もうお分かりですよね。右が純正で、左は海賊版です。海賊版は肌の彩度が変に高く、謎のチークが入っていたり、衣装のフリルの塗装が荒く、スカートの裾は一部が剥げています。そしてやはり、全体的に妙にツヤがかっています。
また、海賊版にはバリの仕上げが雑（製造上生じた継ぎ目がそのままになっている）で、塗装が不均一であったり、グラデーションや影の表現が欠けているものもあります。例えば下記の画像を見てください。右のフィギュアには気になるポイントがいくつも見受けられますね……。
純正品であるかどうかの確信が持てない場合は、必ずメーカーのサイトに掲載されている公式画像と見比べてください。等身や髪、服の皺の比率がおかしかったり、ディテールが荒い場合は明らかに海賊版です。髪のパーツや手、装飾品など細かな造形を見比べるとさらに違いに気付きやすいでしょう。
（引用元：Solaris Japan）
純正品のフィギュア（左）は塗装が非常に緻密で髪の造形も細かくリアルです。一方海賊版のフィギュア（右）はどこか赤みがかっていて、髪の造形ものっぺりとしていてメリハリがなく、裾も雑な塗りになっています。
純正フィギュアの継ぎ目や接合部は、通常丁寧に研磨されていて目立たず、パーツ同士の接続箇所が細かく設計されています。（※プライズフィギュアは必ずしもこの限りではありません。また、高額なフィギュアであっても、バリの仕上げが雑でファンから低評価を受けるメーカーも稀にあります）
ひと目見ただけでは純正品と海賊版の見分けがつかない場合があるかもしれません。フィギュアの製造は中国の工場で行われることも多く、オリジナルの製造データが流出してしまうこともあるようです。そのため、写真だけでは見極めが難しい非常に精巧な海賊版も一部流通してしまっているようです。こうした制度の高い海賊版に高価な値段がついてしまうことがあるのも現状です。
例えばこのルーシー（Fairly Tale）のフィギュア、どちらが本物か理由をつけて説明できますか？
特にバニーガールのように細かな装飾の少ないフィギュアだと、判別が難しいですよね。海賊版の方もぱっと見て目立った欠陥はなく、ステッチも表現されていて塗装剥がれもなさそうです。しかしよく見ると、右はカフスや髪のディテールが弱く、かざした手の位置が異なっています。また、衣装のエナメル感がなく、髪のグラデーションも感じられないことから、右側が海賊版であると判断できます。
純正のフィギュアは、繊細ながらしっかりと安定感のある高品質の素材で作られていることがほとんどです。海賊版フィギュアは安価で軽いプラスチック素材が使用されていることが多く、安っぽく頑丈さのないものであることがあります。実際に両方のタイプのフィギュアを持ったり触れたりしてみると重さの違いは顕著で、純正品の方が重みがあり重厚感を感じられます。実物を比較してみないと分かりづらいことでありますが、やはり海賊版は見た目だけでなくその重さにもチープ具合が表れるようです。
フィギュアの匂いを嗅ぐ、というとやや変質的に聞こえてしまうかもしれませんが、これも非常に効果的な判別方法です。純正品のフィギュアは通常プラスチックの匂いがほとんどしません。または、新品のフィギュアを購入したことのある方なら"新品のフィギュアの匂い"というものを想像していただけるのではないでしょうか。
一方、海賊版フィギュアは製造時に安価な素材や塗料が使用されることから、化学物質による不快なにおいが生じることがあります。開けたばかりのフィギュアなのに強烈な刺激臭を放っている場合、海賊版フィギュアの製造に典型的に使用される低品質な素材や塗料が原因である可能性が高いでしょう。
塗装やディテールの項目でも触れましたが、純正品のフィギュアは継ぎ目を見せないために、パーツ同士がきれいにはまるよう計算して造形されています。すべてのパーツを組み合わせたときにフィギュアが正しく自立すること（自立フィギュアに限る）、継ぎ目に隙間がないこと、接合部の緩みがないことは、メーカーによって丁寧に製造されたフィギュアであることの証左となります。
反対に、海賊版のフィギュアは組み立てたときのバランスが悪いことがよくあります。製造工程における品質管理が不十分なため、パーツを組み合わせたときにずれが生じたり、接合部に隙間ができてぐらぐらしたり、そもそもパーツを上手く差し込めなかったりします。これらは壊れやすさにも繋がる要因でしょう。海賊版にはよくある問題で、接合部の設計が甘く素材も劣っていることから本物と比べてクオリティに大きな違いが出るポイントでもあります。
（引用元：cbr.com）
こちらの可動フィギュアは、海賊版だったために首のジョイントパーツが脆く、そして接合部の設計が狭く、かんたんに首が折れてしまったことが分かります。
純正品フィギュアの台座はきれいにデザインされていたり、フィギュアのポーズにあわせてバランスよく安定するものであることがほとんどです。そして、裏面などの目立たない箇所にメーカーや版権元のクレジットが記載されているものも多くあります。一方海賊版フィギュアの台座は安定性に欠け、安価な素材で作られた汎用台座が付属していることが多く、純正のものと異なり細かなデザインやクレジットが施されていません。フィギュア本体だけでなく、こうした付属品にも偽物であることを示す危険信号が隠れています。
（引用元：How to Spot a Fake Nendoroid｜Nyotaku）
こちらの動画では、純正品と海賊版を見分ける方法を詳しく解説しています（英語）。サムネの桜ミクのお顔の偽物感が半端ない……！
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まとめ 海賊版フィギュアの正しい見分け方
フリマサイトやオークションサイトを利用してフィギュアを収集するのは、ややリスクがあるように感じられるかもしれません。しかしながら、適切な知識やツールがあれば、純正品の高品質なフィギュアだけをコレクションすることができるでしょう。
すでにフィギュアをたくさん所持しているコレクターの方も、これから集めていきたいと考えている方も、通販でフィギュアを購入するときはしっかりとリサーチすることが一番の方法であることを忘れずにお買い物をお楽しみください！
参考サイト：
https://www.cbp.gov/trade/fakegoodsrealdangers
http://nyotaku.com/2012/11/25/how-to-spot-a-fake-nendoroid/
https://support.goodsmile.com/hc/en-us/articles/14951135720345-Bootleg-information
https://www.reddit.com/r/AnimeFigures/comments/2l7lvm/how_do_i_know_if_a_figure_is_a_bootleg/
https://onlyfigure.com/blogs/onlyfigure-blogs/how-to-spot-fake-versions-of-anime-figures
https://solarisjapan.com/blogs/news/ultimate-guide-bootlegs-fake-anime-figures
https://www.cbr.com/how-to-identify-bootleg-anime-figures/
https://animeculturesa.com/pages/authentic-vs-bootleg
https://anime.stackexchange.com/questions/22297/how-can-i-tell-if-an-anime-figure-is-a-fake
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