説明

　大澤哲郎先生は昭和31年東京に生まれました。中高大と学習院で学び税理士として従事されておりました。
大澤先生の生業は税理士とはいえ本来の姿は哲学者であり子供のころから哲学書を寝食も忘れ読み漁り、特にミシェル・フーコーの研究では大学で教鞭を執れるほどの研究者といえます。またその傍ら生涯をかけて、全知全霊をかけて日々活動された大澤哲郎先生のフーコーばりの狂気と生業である理性を共存させた画風の絵画でした。

　昨今のコンテンポラリーアートシーンはブラッシュストロークの鮮烈な作者が2010年以降、国内外で流行ってると思うのですが、その系統では圧倒的な巨匠も含めて大澤先生のような最高に都会的で洗練されており細部まで完膚なきまで仕上げたブラッシュ系のアブストラクトペインティングでは無名の彼がむしろ際立ってカッコイイと思います。ブラッシュ系作家は意外と色使いや筆勢が多数描くと似通ってきますが彼はとてもバラエティーに富んでおりそれぞれに大きなテーマがあると思います。

こういった一見即興にみえる作品は作者の生い立ちや豊かさ、精神構造、教育、趣味嗜好が見事に投影されるわけで作者の恵まれた環境、毛並みの良さとフーコーの影響が内包されております。色選びで言えばＳＮＳ時代以前は野生的な作者が多くいらっしゃいますがいまは誰もがおしゃれでありとびぬけたセンスが必要な原色のブラッシュ系はセオリーを超越した天才的な色選びを求められます。

ご覧下さいます通り一線のコンテンポラリー作家と比べても勝るとも劣らないような完成度で超絶なソリッド感、スピード感、最高におしゃれな色選びの現代美術です。作者の几帳面で執拗なほどの拘りが垣間見れるような作品はその一枚一枚のカッコイイ見た目だけでなくその絵の具の処理がすばらしくどれもがキラキラしておりマチエルの堅牢な質感はいつまでも色あせないよう支持体と絵の具の定着や保存も完璧であり昔の抽象作品にありがちなチューブからひねりだしただけのような荒々しい作品とは対極です。

本作は木枠に貼ったキャンバスに描いた作品のみで額縁はございません。弊社画廊にて展示中です。ご入札を頂く前に販売する場合がございますがご入札を頂きましたらヤフオク用にお取り置きいたします。

本作は、1980年作者24歳時の作品で初期の自画像の一枚です。哲学青年らしい空想、瞑想中の作品です。
ご検討、ご入札の程、どうぞよろしく御願い申し上げます。