【はじめに】
本作は日本洋画壇の耆宿 油谷達 画伯が1923年(大正12年)に描いた作品であることは間違いなく保証致します。
ただ元の絵は、1915年にフィリップ・ド・ラースローが描いた『Madame H.Letellier』であり、本作は寫したものです。
フィリップ・ド・ラースロー(Philip Alexius de Laszlo 1869-1937 ハンガリー出生のちイギリス)は、王侯貴族や社交界名士の肖像画家として活躍し
オーストリア皇帝ヨーゼフ一世より貴族の称号も与えられたほどの画家です。
元絵のアール・デコの雰囲気に魅了されますが、百年前の日本洋画が世界に向けてリスペクトと進取の気概を持って臨んだ証の一枚と言えます。
上から二番目の画像が額にセットされた状態で表出している絵柄の範囲です。
上から三番目の画像がキャンバス単体の絵柄全体の画像です。
元絵からの寫しの作品ですが、油谷達の名でサインと年記を入れています。
黄袋に絵解きとしてフィリップ・ド・ラースロー(Philip Alexius de Laszlo)が描いた『Madame H.Letellier』からの寫しであることが書かれています。
P10(仏サイズ)とありますが、この絵は日本規格のF8号です(もしかしたら元絵の画寸かも知れません)。
◆油谷 達(あぶらや・たつ 1886-1969 東京)
東京日本橋区の国定教科書出版の元祖、またコロタイプ印刷図版の先駆「東洋美術」の出版元であった博文堂、原田庄左衛門の次男に生まれた(のち油谷家を嗣ぎ姓が変わった)。
富士見小学校、商工中学を経て東京美術学校西洋画本科(同期生に明治43年3月卒業の藤田嗣治・田辺至・池部鈞らがいた)に入学したが中退。
1918年から兵庫県川辺郡に移住し、以来 1966年 東京へ帰住するまで、特に戦前、関西在住の官展系有数の洋画家として知られた。
1921年 第 3回 帝展で「初秋の湖畔」が初入選してより、帝展、文展と官展に作品を発表し続け、1931年には帝展無鑑査となった。
1924年 3月に田辺至、牧野虎雄、斎藤与里、高間惣七、大久保作次郎らと共に槐樹社を起し、会員として1931年の同社解散まで同展に作品発表。
解散後は同志会員だった人々が旺玄社や東光会など、個々に新たな団体をつくったが、いずれの会の誘いも断って、専ら官展一途に発表を続けた。
戦後の晩年は中央画界に作品を発表せず、ただ個展の開催は主に戦前に遡るが終始 20回に及んだ。
代表作には、「大阪駅」(1922年作、第一貴賓室に寄贈)、「夏の日」(1924年、第 5回帝展)、「花畑」(1928年、第 9回帝展)、「室内」(第10回帝展)、
「郊外の或る日」(第12回帝展)、「モデル人形のある静物」(1937年、第 1回新文展)等がある。
◆出品～1923年(油谷達・作) P.A. de Laszlo 1915年作『Madame H.Letellier』の寫し F8号キャンバス油彩【油谷達の描画保証】
※油谷達の直筆サインと年記有
◆額寸縦 53.4㎝×横 46㎝ 画寸縦 41.5㎝×横 34㎝（刃先幅が広いため画寸の内寸法が小さくなります）
※キャンバス単体では 縦 45.7㎝×横 38㎝ ございます。
◎絵の状態＝良好～出品表示の状態は『絵』そのものに限り（額の状態は含みません）、現状コンディションの優劣を表示しています。
◎額の状態＝おおむね良好の範囲です。
※アクリル板は入ってますが、裏板のない仕様です。
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