図録本 ジャン・フォートリエ展 大回顧展 画集 作品集
JEAN FAUTRIER
2014年
230ページ
約23x20x2cm
戦後の美術界を震撼させたフランスの画家、ジャン・フォートリエ(Jean Fautrier, 1898-1964)の初期から晩年までの作品を紹介する、日本初の本格的な回顧展の図録。「人質」シリーズ、「林檎」「黒の青」「雨」ほか、油彩画、エッチング、アクアチントなどの版画、彫刻など出品作品116点の全図版、論考、略年譜、主要日本語参考文献を収録。
ジャン・フォートリエの日本語書籍は他に類書もなく、
具象から抽象画への作風の変遷を知ることのできる、情報満載の大変貴重な会場限定図録本。
【目次】
ジャン・フォートリエ、レアリスムからアンフォルメルへ:再創造への破壊 ジャン=ポール・アムリーヌ
絵画の現実性・レアリテを求めて 山梨俊夫
カタログ(カラー作品写真図版)
「石と語る」日本とフォートリエ 天野一夫
略年譜
日本におけるフォートリエ批評・紹介
主要日本語参考文献
【展覧会案内より】
戦後の美術界を震撼させたフランスの画家、ジャン・フォートリエ(Jean Fautrier, 1898-1964)の初期から晩年までの作品を紹介する、日本初の本格的な回顧展です。
1945年にパリで発表された連作「人質」以降、晩年の作品でよく知られるフォートリエですが、戦前の日本においてたびたび文献に登場するほど、将来有望な画家でした。写実傾向からはじまるその画風は次第に抽象化し、さらに、伝統的な油彩というものに反感を抱いて距離を置くようになります。その後、フォートリエは画壇から一度、遠ざかりますが、1945年の個展で再び注目を集めました。
日本においては、第二次世界大戦をはさみ、しばらく紹介される機会がありませんでしたが、1956年に開催された「世界・今日の美術展」で、ミシェル・タピエが唱えた新たな美術傾向“アンフォルメル”(仏語Informel「不定形」の意)の作家の一人としてフォートリエの連作「人質」が紹介され、その厚く盛られた焼きもののような独自の絵肌や、戦争の犠牲者という題材、また題材自体をより連想させる抽象化した表現など、“これまでの絵画とは違う”斬新性が人々に衝撃を与え、注目を集めました。南画廊での個展(1959年)は大成功を収め、翌年、ヴェネチア・ビエンナーレで大賞を、1961年には第6回日本国際美術展で外務大臣賞を受賞しました。
本展では、これまで紹介される機会の少なかった初期作品の紹介を充実させると同時に、彼の一つの到達点であった連作「人質」、そして日本で親しまれている晩年の作品までを、国内外の選りすぐりの作品約90点でたどります。なかでも連作「人質」の絵画10点と彫刻2点は本展の見所の一つです。
この貴重な機会に、フォートリエの作品を堪能していただき、その意義や歴史性を感じていただければ幸いです。