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●矢川澄子 訳／署名入り、『森の賢者ヒダエモン』、ミヒャエル・エンデ 作／クリストフ・ヘッセル 絵、河出書房新社刊、1984年、初版、カバー、約26.5×23.5cm

●森の賢者ヒダエモンは、巨大な象の哲学者。密林のほとりに住む彼は水に映る月を眺めて瞑想し「月！」と喝！　ここに、ゴミ山に巣くう青蝿（アオバエ）たちが、自らの組織的、運動的優位性を笠に着て、委員会をつくり、サッカーチーム（FTH）で世界の頂上を争うことを決め、まず賢者ヒダエモンに挑戦状を突きつける。このあたり陣笠政治家のバカ騒ぎを連想させる。

●賢者ヒダエモンは受け入れるが、何が行われるかには無頓着である。もちろん試合はFTHの大勝に終わるが、その祝勝会のさなか、記録的な熱帯豪雨が襲い、ゴミ山やFTHやアオバエ連中おしなべて流し去ってしまう。跡には水面が残り、ヒダエモンはなにも変わらず「月！」と喝……